ずいぶんと間が空いてしまいましたが、フィリピンで平和構築のお仕事していました。
フィリピンは西太平洋にある東南アジアの国で、7000以上の島で構成されています。マニラのあるルソン島、セブのあるセブ島、そしてダバオのあるミンダナオ島などが比較的有名で、他にもたくさんのきれいな島々があり、観光にはおすすめです。
あまり知られていないところで、国民のほとんどはキリスト教徒なのですが、ミンダナオ北西部にイスラム教徒の自治区があり、以前は長らく政府と対立していました。2014年にフィリピン中央政府と該当地区の主要勢力のひとつだったモロ・イスラム解放戦線(MILF)と和平合意が締結され、BARMM暫定自治政府(Bangsamoro Autonomous Region in Muslim Mindanao)が発足しています。
お仕事は、BARMM暫定政府の正式な自治政府へ向けての支援です。行政能力強化研修を提供したり、農業や産業の振興、コロナ対策などの活動がプロジェクトで進行していました。BARMM地域はフィリピンで最も貧しい地域のひとつです。大変なお仕事ではありましたが、BARMMの方たちの暮らしが少しでも楽になってくれればと思ってお仕事していました。
プロジェクトは大変でしたが、一緒に働いた政府職員や現地スタッフとはとても良い関係でお仕事を終えることができました。プロジェクト自体は継続していますので、これからも地域に貢献できるような活動が続いてほしいと思います。
ミャンマー政府の民主化支援からフィリピンのムスリム自治政府移行支援と、アジアの平和構築案件にしばらく携わりましたが、充実感と同時に無力感を感じることも多々ありました。
ミャンマーでの民主化支援は、みなさんご存知の通り結果として失敗。プロジェクトでコントロールできる範囲を超えてはいますが、事業の方向性や戦略の正当性の正否は、未だにもやもやと考えることもあります。
バンサモロの未来も、信じて進んではいるものの、いろんなことが簡単に覆る現実をミャンマーで見た直後ではとてもじゃないけど確信は持てません。BARMM政府と良好な関係性を保ちつつ、自分たちの信じる戦略を少しずつ進めるしかない毎日でした(度々後退しますが)。
平和のお手伝いの難しさを実感します。現行の戦略と自分の中の落とし所を噛み合わすことがなかなか出来ない自分自身を青臭くも感じ、それでも活動を続けている現実に惰性をみます。きっと落とし所などないのですが、ゆっくり考えてみてもよさそうです。
フィリピンの空は相変わらずきれいでした。
ミンダナオの未来に期待します。