青年海外協力隊員は、活動の節目に報告書の提出が義務付けられています。そして第5号は最終の報告書です。みなさまへのご報告もかねてここに内容をアップいたします。
(1)活動結果
(2)要請の妥当性
(3)活動成果の配属先による活用の見込みと今後の配属先への支援の必要性
(4)ボランティア経験について
(5)帰国後ボランティア経験を社会に還元又は発信するための方法と計画
(1)活動結果
15~30歳くらいの若者へPCスキル職業訓練を行った。内容はWord、Excel、PowerPointの演習中心の授業、ハードウェア基礎、ウイルス対策演習などである。英語を話す事が出来ない生徒への指導に大変苦労した。ボディランゲージや、実際に手順を見せて体で覚えさせるようにした。また、職員への個別指導を行った。内容は、Word、Excel、PowerPointの個別指導とパソコンのメンテナンス指導、ハードウェア演習、ウイルス対策。最初は全職員を集めて授業を行っていたが、モチベーションの維持と全職員の都合を合わせるのが困難であったため、一人ひとりのスケジュールに合わせた個別指導に切り替えた。センターパソコンと図書館パソコンのメンテナンスを定期的に行った。また、外部パソコンの修理、出張修理を行った。
結果として、訓練生はMSOfficeやパソコンのスキルを身につけ、仕事に生かせるレベルにはあるが、直接就職には繋がっていない。今後の課題として、就職を促し、斡旋するシステムが必要である。また、パソコン・IT関連の指導者の人材不足と、人材の流出という問題がある。訓練生への指導だけではなく、人材・教師育成のための活動を展開する必要がある。
(2)要請の妥当性
要請内容は、同センター長をはじめとする配属先職員・訓練生等に対するWord、Excel など基本的PCソフト、PCプログラム等の操作・活用方法の指導・訓練・助言と、PC機器の日常的メンテナンス指導であった。配属先スタッフの技術レベルは全職員初心者レベルである。
北部地域黒人貧困層の経済状況改善が求められている中での人材育成・就労機会開発のためのインストラクター派遣は妥当であり有意義であったと思われる。
配属先の受け入れ体制としても、当初は技術や人材を独占したがる閉鎖的な傾向が見られたが、徐々に改善が見られ一般市民や青年たちに対して意識的に資源を開放するという変化が見られた。
ボランティアに対しては非常に好意的・紳士的な対応であった。国際交流への意識も高く、とても充実した異文化交流を行う事が出来た。活動に関しては例に漏れずマンパワーを求められる事が多かったが、一部のモチベーションの高いスタッフに対して技術移転を行う事が出来たことは、これからの職場の環境維持ためにも非常に有意義であった。
(3)活動成果の配属先による活用の見込みと今後の配属先への支援の必要性
活動の柱として、職場PC環境の整備と維持、訓練生・職員へのPCスキルの指導の二つがあるが、双方とも今後の活用の見込みが期待できる。
PC環境の整備と維持に関して、メンテナンス指導によりスタッフ自身でのトラブル対応・メンテナンスが可能となった。情報のアップデートは必須であるが環境の維持・整備は継続出来る。今後技術スタッフのさらなる自己研鑽に期待する。
訓練生・職員への指導に関して、ナミビア人PCインストラクター1名とメンテナンススタッフ1名により基本的なソフトウェア操作の指導は継続して行う事が出来る。より実務的な内容を授業内容に加えた事に関しても、自身で対応し効果的に訓練生に指導していた。使用教材に関して、一貫性を持たせた資料を作成し引継ぎを行ったことにより、今後もより効果的な訓練生への対応が期待できる。
配属先への支援の必要性は、PCメンテナンスに関しての技術移転を行えた事と、MSOfficeシリーズと基本的なソフトウェア操作を指導できるPCインストラクターが1名在籍している事を理由として、現在のところ高くない。しかし、ナミビアでよく見られる、突然の転職・異動での人材の流出があれば再び必要となる可能性はある。
(4)ボランティア経験について
非常に有意義なボランティア経験であった。自分が信じていた価値観以外のものがたくさん存在する事をナミビアとナミビア人から学び、信条・言葉・文化・人種あらゆる背景が違ってもお互いを尊重する事で必ず分かり合えるということを知った。
技術の移転・指導という立場でこの国でボランティア活動を行う事となったが、結果として自分が残したもの以上に私が現地の人々から得たものの方が何倍も大きい事を実感する。自分が今後人生を歩むにおいてかけがえのないものを得る事ができた。
また、自分がやりたい事、やるべき事を考えるにおいてたくさんのヒントを得る事ができた。たくさんの異文化に触れる事で自分の視野が広がり改めて様々なものが見えてきた、あるいは見方が変わってきたような気がする。これからこのボランティア活動で得た経験を生かして人生を充実させていきたい。また、この経験を日本社会に発信し還元できるよう努力していこうと思う。
(5)帰国後ボランティア経験を社会に還元又は発信するための方法と計画
単純な事であるかもしれないが、自身の経験を他人に話していくことから始めようと思っている。自らの経験や知識をただツラツラと語ることがどれだけ相手に伝わらないかをボランティア経験で思い知った。相手に興味・関心を持たせ、少しずつ自分がそうであったように心に語りかけていけるように努めたい。
JICAが主催する国際交流のイベントなどにも率先して参加する予定である。少しでも国際交流やボランティアに興味を持ってくれた人にその楽しさを伝える事ができるように最大限の協力をしていきたい。
同じような経験を持ったボランティアに話を聞き、効果的に経験を還元できる方法を日本帰国後も模索していくつもりである。また、自分自身も今後ボランティア活動により積極的に参加し、その姿勢をボランティアに興味を持った人たちに示していくことが出来ればと思う。