ボランティアが派遣されている職場は、やはり質は違えど色々な問題を抱えています。
ナミビアはアフリカの中では比較的発展している方だと思うので、物質的な不足や問題よりも人材の問題をよく耳にします。
黒人政権発足から約20年。
見よう見まねで継続している政府や公務、各省庁の仕事は、白人政権時代の見かけばかりを真似して本質的な物は全く整っていないようです。最近のアフリカの政権崩壊を見れば想像はつくと思います。
その中の小さな町のひとつの問題を紹介します。
私の職場は、オウムサティ州オウタピの青少年文化振興省のユースセンター。
オウタピはオムサティ州の州都(日本でいう県庁所在地のようなもの)で、北部では比較的大きな町です。
ここでの主な仕事は青少年への職業訓練と、一般市民や若者・子供達の交流の場です。
ちなみに私の要請は、コンピュータの職業訓練とスタッフコンピュータスキルの向上です。
周辺の町や村から結構多くの人が集まってきます。
暇な時間も多いのですが、みんなそれぞれに工夫して青少年への啓蒙活動を行なっています。
暇な時間が多い理由は、ずばりセンター長。
新しい試みや、一般市民に対して閉鎖的で、職員のあたためてきたイベントや案をことごとく却下していきます。
私も来た当初にずいぶんと悩みましたが、ここに配属されている以上、トップの判断はどうしようもありません。
そんな彼が、最近久しぶりにセンターにいます。
私が赴任して現在1年と1ヶ月。そのうち10ヶ月職場にいません。
ナミビアの公務員でそこそこのポストについている人は何らかのサイドビジネスや別の肩書きを持っています。
ナミビア人は肩書きや形にこだわります。
形だけならよいのですが、大体公務員業務はほったらかして、サイドビジネスなどの方に精を出します。
権限を渡していかないので、すべての事務処理ややるべき事がことごとく滞っています。
企画の先延ばしをされているスタッフたちは呆れ返っています。
みんな市民や若者のためと色々なことを企画しているのに、センター長の目だけが市民や若者に向いていません。
偉くなればなるほど、目は一般市民に向かなくなるようです。
ちなみに私が却下された主なものは、
・センター利用者への無料リペア
・オウタピ市民への出張リペア
・パソコン室の一般市民への開放
・トレーニングジムの再開
です。
市民の要望が多い事から却下していくので(何か問題が起こる可能性が高い、というのが理由だそうです)、一般の市民からもよく苦情を受けます。私はトレーニングジムのヘビーユーザーだったので、ジムに関しての苦情は一手に引き受けています。
もちろん意見するスタッフもたくさんいました。
志の高いスタッフは、センター長とぶつかり何人も職を変えています。
アメリカ、フランス、他ボランティアたちはケンカした挙句赴任先を変更しています。
私も来た当初激しくケンカし、本気で任地変更を考えていました(そのまま彼がセンターに来なくなったのでそのままですが)。
現在の職員の半分も、今年・来年に向けて職探しをしているそうです。
センターの備品を不必要だと決め付け勝手に片付けたりオークションに出したり、突然インターネットのケーブルを抜いたり(職員はメールチェックさえ出来ず、もちろん一般利用者も使えなくなる)、そして苦情を言っても決して受け付けません。小さな事なのですが、たまに来て余計な事をしていなくなるのでみんな困り果てています。
私も生徒への授業を頼まれすべての準備・引継ぎを終えてから、「やっぱり何かあるとダメだから休講にする」と言われたときは、なぜ呼んだんだ?と本気で悩み、日本に帰ろうかと思いました。その後もまた何ヶ月もいなくなったのですが。。
そして昨日はトレーニングジムもしくはワークショップルーム(広いのでどっちにも使える)を裁縫のクラスへ変更していました。
広い部屋の端っこの方で不自然にミシンをかける生徒達と、空っぽの部屋が出来上がっただけです。ワークショップにもジムにも使えなくなりました。
スタッフに、
「なぜ裁縫は部屋変わったんだ?」
と聞くと、
「1番のオフィスの偉い人に聞いてみれば」
と自嘲気味に答えていました。彼女もここに長くない気がします。
ボランティア慣れしている私の職場は、物質的な援助やマンパワーを求め、根源的なシステムや体制に対して意見すると、そういう要請は出していないと聞く耳を持ちません。
面倒くさいボランティアは替えればいい、というのが私の職場(センター長)のスタンスのようです。
たまにヘッドオフィスや、海外からの視察なんかが来ると、自慢げに紹介するのですが、、、(JICAという名前はアフリカでは有名)。ここはグローバルなんだぞ、という単なるパフォーマンスの様に映ります。
要請内容であるコンピュータに関しては、自分の描く事が少しずつ形になってきました。
スタッフの愚痴や悩みを聞くことも増えてきました。
現地のスタッフの出来ない、言えない事を表現する時期が来ているのかもしれません。
m(_ _)m
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